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Interview「代表が語る」


起業家インタビュー第9回 原田 豊氏 [3/3ページ]


松尾:借りるとコストがかかっちゃいますからね。そしたら、若い起業家に向けて、若い人でも今会社を辞めて、まあ、大卒あるいはMBA卒でいきなりというのも難しいと思うんですけど、何かアドバイスというかメッセージありますか?

原田:私はね、10年早く会社を辞めていたらと思うんですよ。それでさっきも言いましたけどとにかく大企業だったので。大企業に対して自分の思い込みもあるんですけど必死で働いて、あとは会社が何とかしてくれるんじゃないかという思いがあってやっていたんですよね。ところが辞めてわかったのは、会社は個人が思うほど個人のことは思っていないということ。それと会社では何にも身についてないんですね。要するに会社のために部下をどういうふうに使うかとしか。

松尾:一個の個人になったときに、マーケット価値が蓄積されてなかったと。

原田:個人になって会社を作ったら要するに経営方針だとか、なんで稼いでどういうふうにしてとかそういうことを必ずやりますよね、そういうことは何も教わっていないですよね。だからやっぱりいきなりっていうか大学生が学校出ていきなりっていう人もいるけどもなかなかそれは難しいかと。何か自分でやりたいことがあって、商品があって、やりたい自由があってそれを基に起業するのはいいと思うんですけど。そうでな意場合は、私みたいにどうしようこうしようというのではなく、やるんだったらやっぱりその大会社に限らず会社にいるときに少し自分の勉強をしておく必要がある。

松尾:準備をしたほうがいいと。

原田:そう。

松尾:会社にいるときでも。

原田:そう。我々のころは終身雇用がベストだというそれできている。私はそうは思わないですよ。今思うと。会社とは適当に付き合いをして、最後は自分で起業をしてやっていったほうがいいと思うんですね。その準備を会社にいるときにやるべきだと思うんですよね。

松尾:あの、20年30年前より、多少そういう方向にはなっているのではないかと?

原田:多少はなっていますね。起業の為に辞めるという人は少なくてほかの事情でね、やっぱり・・・・

松尾:ま、景気が悪いときにはそうですよね。積極的に自分で進んでいって起業を考えるにしろ、受身的に考えるにしろ、準備をしておいたほうがいいと。

原田:イギリスで起業をするということに限ると、残念ながらビザの問題があって、何人にも相談を受けてるんだけど、やっぱりビザのところでぶつかっちゃうんですね。

松尾:私の時は日本の友達の会社の子会社という形を最初とってもらった。で、軌道にのりだしてビザが関係なくなったら自分の会社に戻しました。

原田:私はラッキーだったのはたまたまNKKに4年いて、その当時は4年プラス1日でも長くいるんだったら自動的にパーマネントビザになってたんですね。

松尾:私は日本にいる頃から準備して、全部。その頃勤めていた会社にもちゃんと説明して。中堅のコンサルだったんですけど、結構世界中のネットワークアソシエイトとやってたんですが、子会社がなかった。自分に欧州で子会社をロンドンに作らせてくれるか、もしそれがだめだったら独立してやりますと宣言してたんですよ。だから会社も納得の上でじゃあがんばってくださいということになりました。

原田:それとやっぱりね、自分で今までやってきた仕事で独立するのがいいですね。私も鉄鋼関係で何かないかなと思ってやりましたが、ちょっと話はあって少し手伝ったことがある程度です。

松尾:なかなか継続的に仕事をもらうってことは難しいですからね。

原田:まあ、反省することはいっぱい。起業するならやっぱり自分がやってた仕事に関連した仕事をやることがおすすめです。

松尾:まあそうですよね。そうしたらあとじゃあプライベートのことでですね、家でとか趣味、ゴルフや車や犬の散歩・・・

原田:ゴルフはやめました。もう4-5年になります。趣味といえば、競馬です。たまたま友人とその仲間たちで始めた競馬クラブで馬をもっていたんで。前の会社時代に船を買ってくれた船主がいたんですよ、カナダに。その息子は船をやめて馬を始めた。今も成功してますけど。日本のあの投資対象にやっているようなクラブではなくて、要するに社交の場なんですよね。2~3頭の馬を20人ぐらいでもって、その馬たちが走るときは競馬場に行ってという感じです。そのクラブはまだ続いてますが私はもうやっていない。また年1回、私がフレミングス会の人たちをアスコットに連れて行くんですよ。もう10数回やってます。ファミリーデーなんですよ、7月の最後の日曜日です。4-5年前から、日本中央競馬会(JRA)のロンドン事務所の人たちが協力してくれて、「英国の馬券の買い方」と言う資料を作ってくれたりその年一回の7月の最後の日曜日に来てくれたりして。

松尾:犬がいらっしゃる?

原田:ジャックラッセルとスタフィの混血です。

松尾:その犬は今何歳くらい?

原田:今ね、7歳。バタシードックス&キャッツセンターで購入しました。この国は通りで野良犬を捕獲するとバタシーへ持っていく。あるいはおじいちゃんからクリスマスプレゼントでもらって子供が飼いきれなくなって持っていく。だからクリスマスが終わって1月が一番多い、そういう犬が出るのが。結局ワイフが家に一人でいることが多いでしょ、そういうこともあって犬を飼いたいと。結局飼ったらワイフは私がいないときはちゃんとしますけど、今は荷が重いんですよね。犬のほうが強いので。朝昼晩と3回散歩しているのは私なんですよ。朝は5時半ぐらいにおきて6時には行ってますね。それから家にいるときは昼が10時ぐらいかな、夕方が4時くらい、朝が30分、昼が1時間半くらい、夕方が1時間、一日3時間から4時間くらい散歩します。

松尾:運動になりますね、かなりね。

原田:犬を飼い始めて最初の1年で体重が8キロ落ちました。


インタビュアー:松尾卓也JCCI起業部会副会長(2014-15)、EBS (UK) Ltd.代表取締役
撮影日・場所:2015年4月10日


インタビュー後記

仕事にネットワーキングなどポジティブに生涯現役を貫くお姿には敬服します。大企業を30年お勤めの後の独立は当時としては珍しく、「啖呵を切って」会社を辞めるとはやはり長州人の血が流れているのでしょう。一見静かな紳士とお見受けしますが、内なる熱いものを感じさせる原田さんです。人づきあいがよく、お酒が入ると少し饒舌になり場を盛り上げてくださいます。奥様、お嬢様、ワンちゃんを深く愛する素敵なおじさん(失礼!)は見習うことがいっぱいです。一杯やるか。